忘れちゃいけないこと
携帯電話やインターネットの普及により時代は大きく変わりました、
良くも悪くも・・・。経済効果にも大きく影響したモバイル、IT産業、
ビジネスシーンでは欠かすことの出来ないものに成りつつあります。
確かに仕事のスピードや能率は、電話やFAXだけの時代に比べると
格段に良くなったのでしょう・・・。しかし、その一方では
携帯電話やインターネットのない時代には、ごくごく普通で当たり前の事が
蔑ろにされつつもあります。一番顕著に現われているのが
「時間を守らない」これ、意外と皆さん気付かずやっています。
携帯がある為「あ、ごめん、すぐ近くなんだけど5分ぐらい遅れる」
携帯電話でこんな連絡した事ありませんか?たかが5分ぐらいと思われがちですが、
5分送れた、30分送れたではなく、時間や理由に関係なく、
遅れた事実にはなんら変わりはありません、約束の時間に約束の場所に
来れないという結果だけが残ります。みなさんにも心当たりはありませんか?
その他にも出会い系サイトの普及に伴い、
今までとは異なるインターネットならではの犯罪も少なくありません。
また、気軽に全く知らない人との出会いの場が増え、
それもまた新しい犯罪の温床になっていると言っても過言ではありません。
しかし僕が一番言いたい事は・・・。
「ロマンスが無くなりつつある」
僕が高校生の頃はポケットベルすら有りませんでした、
ですから婦女子の自宅に直接電話し、まずは「お父さん」を攻略しなければ
大好きなあの子の声は聞けませんでした。
ですから、学校の帰り道「今日は○○時に電話するね」と時間の指定をして、
何とか直接彼女に電話に出てもらう工夫をしました、
それこそ時間が守れないとまたまた「お父さん」登場なわけです。
そしてなんとか「お父さん」を華麗にスルー、
やっとの事で大好きな婦女子とラブラブコールなんですが、
これもまた「お父さん」が聞いてたりするんですよ隣で。
当時はまだコードレスじゃない電話機も数多く、
婦女子の家がコードレスを導入しても「いつまで長電話してるんだ」
「お父さん」再登場です。
そしてある土曜の夜。つかの間の彼女との会話・・・。
小声で「好きだよ」と言って静かに電話を切る、
そして明日のデートに備えて着る服などをチェックしながら
「彼女は明日どんな格好で来るんだろ♪」と想いは募るばかり
そしてその頃、彼女も同じ気持ちで服選びをしている・・・。
土曜の夜は静かに深まっていく・・・。
「今頃何してるのかな?もしかして同じ番組を見てたりして」
などと彼女の事を想いつつ日曜日を迎える。
早く逢いたい、早く声が聴きたい!
その想いからか約束の時間より30分も早く待ち合わせの場所に着いてしまう・・・。
しかしそこにはすでに彼女の姿が!
携帯電話やIT関連の飛躍的進歩から、僕にはこれらアナログ時代が
無かった事にされつつある気がします・・・。好きな時に直接声が聴け、
写メール機能の充実で相手の今の顔さえ見れる時代、
メールの手軽さがダイレクトに意思の疎通に繋がり、テレビ電話の登場により
遠く離れた場所に居ても、まるで傍に居るようなバーチャルなやり取り・・・。
全てを否定する訳ではありませんが、逢えない時間、聴けない声にイマジネーションがあり、
ひとりになった時に、自分に対しての相手の存在の大きさを再確認できる唯一の時間・・・。
絶対に忘れたくない!!!!!
そうそう皆さん、あの二人のその後が気になりませんか?
では、ちょっとだけ・・・。のぞいて見ましょうか?
「ど、どうしたの?待ち合わせの時間にはまだ30分早いよ」
「早く逢いたくて・・・、昨日もあまり寝れなくて・・・」
(僕と同じだ・・・)
「きょ、今日はスカートなんだ?(すっげー可愛い!!)」
「パンツルックより・・・、女の子らしいのが好きだって言ってたから・・・」
(覚えてたんだ・・・)
「そうだ!昨日の○○時!何してた?僕はあの人気番ぐ・・・」
「○○時?・・・・」
「あ!これ書いてたんだ・・・」
「え、手紙?・・・?」
「あ、駄目!!帰ってから読んで・・・」
「あ、うん、分った・・・」
二人の・・・、そして二人だけの優しい時間はやがて終わりを迎えます。
彼は彼女との時間を噛み締めつつ帰途に着く・・・。
そして、早く読みたいと思っていた貰った手紙を開く。
その手紙には何気ない日常や、その日にあったことが可愛らしく書いてあった・・・。
彼の何気ない一言。「昨日の○○時って何してたの?」
その手紙の書かれた時刻は彼の尋ねた、まさにその時刻・・・。
彼は最後の一行に目を奪われた・・・
そこには何も書いていないが、ただ消しゴムで消した後が見て取れる・・・。
「愛し」の文字・・・。
「愛し」と書いて消したのだった・・・。
でも彼は・・・、その消された文字で、彼女の可愛さを再確認したのである。
「そうだ!昨日の○○時!何してた?僕はあの人気番ぐ・・・」
「○○時?・・・・」
「あ!これ書いてたんだ・・・」
「え、手紙?・・・?」
「あ、駄目!!帰ってから読んで・・・」
「あ、うん、分った・・・」
「き、昨日さ!実は」
「へ〜そんな事があったんだ」
「そうなだよここんとこさ・・・」
「私も〜、ハハハア」
おっとと、これ以上は、せっかくの二人だけの時間・・・。
私達はどうやらお邪魔のようですね。
ちなみに、「愛し」の代わりに「大好き」と書かれていた・・・。
まだ高校生でしたからね。