Price cut



 海外旅行っていいですよね!
でも、もうかれこれ10年以上行っていませんが
チャンスがあったらまた海外旅行に行きたいです。

海外旅行って帰国してからいろいろ考えさせられたり、
何だか世の中を見る視野が広がったように感じて大好きです。
今日は僕が10年以上前に、タイのプーケットに行った時のお話しです。
僕はゆったりとタイのビール「シンハー」を飲みながら、
プーケットのビーチを満喫していました、
そこに現地の物売りのおばちゃんが来て・・・


      シャチョウ!シャチョウ!


当時二十歳そこそこの僕にむかって社長って・・・。
でも何で日本人だと分るのだろう?大体どこの国に行っても
物売りの人は迷わず日本語で話しかけてきます、
一度「I am○○」と、アジアの日本以外の国の名前を
言ったところ、「オ〜」とか言って、どっかに行っちゃいました、
なかには「アナタは絶対日本人ネ!!」と詰め寄る人もいますが
「日本人ではない」と言い張ればしつこい物売りには結構使える手です。
話しを戻して、そのおばちゃんはキーホルダを30個ぐらい入れた、
レストランで使うトレーぐらいの大きさのざるを持って
僕の横に座る。ここでまたお約束の・・・
「シャチョウ!コレヤスイネ、イッコシェンエン!タイジョウブ!」


     最後のタイジョウブがイミワカネ・・・


このキーホルダー・・・、とてもじゃないが
一個千円もするようなものには見えない・・・。
「一個千円?高いよ〜」と僕が言うと間髪いれず!!
「ワカタ!サンコシェンエン!タイジョウブ!!」



   だから何が大丈夫なのさ???



三個で千円でもとても買う気になれない・・・、
そこで僕が「10個で千円!タイジョウブ!!」
と言ったところ、5個で千円だと言われた、
このおばちゃん、もちろん最後に・・・




      「タイジョウブ!!」




これは決して欠かさない・・・、
なかなか空気の読める見所のあるおばちゃんだ。
それでも10個千円にしてくれと頼むと、
意外なほどあっさりと・・・
「オーケー!ジュッコシェンエン!タイジョウブ!!」
しかも、いかにも芝居がかった


   「しょうがない!社長には負けたよ」


といった小芝居付きwww1個千円だった物が10個で千円?
これは面白いですよ♪僕はこの1個千円だったキーホルダーが、
何個で千円になるか試してみたくなりました。

僕は値下げ交渉の時、上から下げないで
底値から上げていく方式をとっています。
簡単に言うと千円の商品に対して「400百円にしてくれ」
と頼みます、すると「950円にします」と言ってきます、
今度は「450円にしてくれ」と頼みます、すると
「900円でどうでしょう!」と・・・、
つまり上から値下げすると相手の言値で
おれた振りをされます、だからこちらは底値から
少しづつ上げる、そうすると中間の値段(ギリギリ一杯)
の値段にさせやすいのです。話しはそれましたが、
この場合の底値・・・



     「全部で千円!タイジョウブ!!」



と言ってみました!さすがにこれにはおばちゃん、
何言ってんだよ!そんなの無理に決まってるじゃん!!
の様な仕草、当然いつも底値から上げていく僕、
日本でもよくそんな仕草をされるので全く動じません!!
「全部千円!タイジョウブ!!」僕はこの一点張りを通す覚悟でした・・・。
だって全部で千円でも買いたくないようなデザインの
キーホルダーなんですもん・・・。そう、せっかくのビーチでの、
のんびり気分を次から次へと来る売り子のおばちゃんに
邪魔されたくなかったので、買う気はありませんよって
アピールしたつもりだったのですが、さっきまで空気の読める
なんとも憎めないこのおばちゃん・・・、



     食い下がって来ますよ!!



読めてない まったく読めてないよ・・・ 空気嫁。
全部で千円にしろと言った僕に対して、
なんだかざるの中を手で選り分け始めました・・・、
「オーケー!コレデシェンエン!タイジョウブ!!」
そのおばちゃんが示したキーホルダーの数はなんと!!




    全  体  の  三  分  の  二




ちょwwwwwwwおまwwwwwww
いきなり三分の二ですか?!
おばちゃん侮れず・・・。
なんかいけそうな予感・・・、そう感じた僕の心は小躍りしていましたよ♪
全部で千円でも買うつもりもないのに、このおばちゃんには是非!!!
「ワカタヨ!ジェンブシェンエン!タイジョウブ!!」
って言わせたいぃぃぃぃぃ!!そんな僕の言葉はやっぱり
「全部千円!タイジョウブ!!」そうしたらこのおばちゃん
どうしたと思います?一個づつ足しては
「コレデシェンエン!タイジョウブ!!」
m9(^Д^)プギャー




     いつかは全部になっちゃうよwwwwwww




その後もおばちゃんは一個づつ足しては
「コレデシェンエン!タイジョウブ!!」の連発!!
僕は最後の手段に出ました、日本円で千円札を出し


  「OK分った!全部千円!タイジョウブ!!」


よく使う手なのですが(日本でも)自分がこの値段だったら
買うと思った金額を出して(渡したり)「この値段なら買おう!!」
と若干声のトーンを上げます、すると意外と「分りました!!」
と相手もなぜか声のトーンが上がる、売れないよりは
この金額でもいいから「売れた方がいいから妥協する」
この心理を巧みに利用します、するとこのおばちゃん・・・。




    「OK!OK!ジェンブシェンエン!タイジョウブ!!タイジョウブ!!」




はやっ!!!即決かよ!!!!
しかも予想を裏切る事無くトーン上がってるし
おまけに「タイジョウブ」が二回だし・・・。現金出した瞬間!
いともあっさりと全部で千円になっちゃいました!
って言うかはじめは一個千円って言ってたよね???




    どんだけぼってんだよwwwwww




おばちゃんは早々と僕の手から千円札を取り、
「タイジョウブ、タイジョウブ」と小声でつぶやきつつ
用意してあったビニール袋にそのキーホルダーを全部入れ???


     ん・・・・・・・・・・・・。


って!!!はっ!?えぇぇぇぇぇ?????!



  ちょwwwwwwwおまwwwwwwww
        (本日二回目)



少しざるに残ってるからキーホルダー!!!
ずいぶんとセコイ手を使うもんだな?とっさに僕は




「全部でしょ?」

「オ〜、ジェンブ!ジェンブ!タイジョウブ!タイジョウブ!!」




   いま一瞬タイジョウブじゃなかったから・・・。




買うつもりもなかった似たようなデザインの
キーホルダーを30個近くも・・・。全部で千円にしてしまった手前、
欲しくもないのに買わざる負えない状況になっちゃいましたよ・・・。
その後、そのおばちゃん「アナタショウバイウマイヨ!」や
「アナタイロオトコヨ!」と言ってホクホク顔でおべんちゃらの嵐、
握手まで求められ挙句の果てにこのおばちゃん・・・




    「シャチョウ!トモダチドコイル?」




  商 売 上 手 は あ ん た だ よ!!




このうえ、友達にまでこのキーホルダーを売りつける気か?
流石と言うか、呆れて開いた口が塞がりませんでしたよ・・・。
しかし「色男」なんて日本語、誰に教わったんだろう?
確か「アナタモテルヨ!」とも言っていましたよ・・・。
買ってくれた人みんなに言ってるんでしょうが、
余計な日本語憶えすぎだから・・・。
でも、ちょっぴり面白そうなので友達を教えてあげましたよ。
早速そのおばちゃんは友達のところにすっ飛んで行きました。
そしてその友達は・・・




   「アナタケチネ!!!」




あなた程のケチなニポンジンいないよ!
とまで言われたそうですwww忘れてしまいましたが、
何て言ったか聞いてみたら、僕より凄いこと言ってましたよ!
いくらなんでもそりゃ無理だよ。そんなこんなでビーチから
ホテルに戻る僕の右手には、袋一杯の怪しげなキーホルダー・・・
そんな、うなだれた僕に友達が・・・


   「何でそんなヘンテコなキーホルダー山ほど買ったの?」


「成り行きさ・・・」と一言だけの僕・・・。
それでも「なんで?なんで?」としつこく聞いてくる友人・・・
しょうがないので・・・

   「坊やだからさ・・・」

すいません、これはフィクションです・・・。
って言うか頼むから死者に鞭打つのだけは止めてくれ・・・。





プーケットのビーチで飲むシンハービール  110円

ヤシの実のジュース丸ごと一個  500円

ヘンテコなキーホルダーざる一杯  1000円

おばちゃんの一言「タイジョウブ」




      プライスレス




お金で買えない価値がある

買える物はマス○ーカードで。



このお話し・・・、ホテルに帰る前にもうひとつ「おいおい」って事が・・・。



違うおばちゃん「コンニチハ!アナタキーホルダースキネ!!」



うはぁぁぁぁぁwwwwwwww
さっきのおばちゃん実は!僕があのヘンテコキーホルダーを
「大人買い」したことを、違うおばちゃん達に話してまわってたんですよ!!
来るは来るはおばちゃん達・・・。翌日も来るんですよこれが!
って言うかそんなにキーホルダーばっかり要らないから・・・。
(翌日は違う物持ってきてた)




それから数年後のある日・・・




ある年、里帰りしたときに母親が
「これ確かあんたが買って来たんだよね?」
その母の手には・・・・・




     袋一杯のプライスレス・・・。




何年も経ち、すっかり忘れていた事を・・・。
確かに、こんなヘンテコキーホルダー、誰にも
あげる事なくタンスの肥やしになってましたよ。
あれ?でも随分と数が減ってるな〜。
その時!!母の次の一言で戦慄が走る!!!




    「確か私が配ったよ」




ちょwwwwwwwwははwwwwwwwwww
    (本日三回目「別バージョン」)




く 配ったのね・・・、べ 別にいいですけど、いったい
誰に何と言って配ったのだろう?
「息子のおみやげ」って言っちゃったの?ママン?

あんなに笑顔で「タイジョウブ」と言われたのに、
その十数年後に「タイジョウブ」ではなくなるとは・・・。
術後、執刀医に「経過もまずまずです」と言われたにも関わらず
数年後に再発した病気にも似た、なんもと恐ろしいプライスレス・・・。

その年の里帰りは僕のセンスが疑われてしまう
一大事だと感じた里帰りでした。


        おしまい

メールを送る  トップへ戻る

戻ろ・・・。