ホストクラブ
ある日曜日の夕方、テレビでホストクラブの特集を放送していた。
あらぬ誤解を招いてしまいそうなので書くのを止めようと思ったんですが思い切って・・・。
何にでも興味のある自分、丁度その時に仕事探しをしていて、
たまたま目に付いた求人に思い切って応募してみた・・・。
「ホストクラブ」
誤解しないで下さい!本当にただの興味本位ですから。
応募理由としては、その時の僕の年齢が求人年齢の上限ギリギリ、
スーパー貧乏だった、勤務地が歩いて行けた(池袋)
この三点が大きな理由だった。店に電話をして応募の申し込みをした、
面接時間は何と夜の11時前!さすがホストクラブ、
普通の社会人が明日の仕事の為に眠りに就く時間に面接とは恐れ入った、
しかし全くの未開の地に足を踏み入れる自分、こんな事ぐらいでひるんではいられない。
一番最初に疑問に思ったのが服装だった、私服でいいのかな?
夜の歌舞伎町や池袋などでよく目にしていた
ホストの人達の姿が頭に浮かんだ・・・。持ってないからそんな服!
しかも自分はスーツすら持っていなかった、
どうする?アイフル♪などとおどけている場合ではない。
スーツを買うのか?ホストっぽい洋服を買っても、
ホストにならないと二度と袖を通すことなどない様な個性的な洋服だ、
だからと言ってリクルートスーツで行くのかホストクラブの面接に?
迷ったあげく開き直って普段着で行きました、
だってホストなんてやったことないもん。
面接当日、見慣れたはずの池袋の夜の街が
いつもと違って見えた、珍しく緊張していたのである。
そしていよいよホストクラブの店内に入る、
そのホストクラブはビルの3階だったか4階にあった、
エレベーターに乗り、目的の階のボタンを押す、
エレベーターはホストクラブのある階に静かに止まった。
さっ、心の準備でもと思った刹那!!
開いたエレベーターの扉の向こうはすでに店内だった!
都内には非常に多いケースで、狭い敷地をより多く使うため、
エレベーターの入り口がそのまま店の入り口になる様な作りが非常に多い。
これには流石に面食らった、
心の準備1秒前に開店準備1時間前のホストクラブのど真ん中!
驚くホスト達!うろたえる僕!
店内でエレベーターに一番近い場所で掃除をしていたホスト君と僕のお互いの第一声は
「え!あ、は・・・、え?」
思わず「後は若い二人にまかせて」などと言ってしまいそうである、
まさにお見合いで緊張した男女のような二人、
そう、僕の格好を見て面接に来たとは、誰にも思って貰えなかったようです。
面接に来た者だと言うことを告げ、奥の席に案内してもらった。
ホステスさんのいる店には入った事はあるが、
ホストクラブに入るのは初めて、作りは似ているがやっぱり何処となく雰囲気が違う・・・。
この場所で1本何十万もするボトルが次々に開けられると思うと、
この場所も凄い場所に見えてくるから不思議である。
少し落ち着きを取り戻した僕、店内を観察していると
何人もいるホスト達の中で、ひときわ他のホストと違う雰囲気が漂う男が目に止まった。
そう、その男はその店のNO1ホストだった!
NO1は僕の方に向かって歩いてきた、面接はなんと店長ではなく
そのNO1が相手だった!!初めてホストクラブに入ったのにいきなりNO1ですか!
音楽を始めたばかりなのにいきなり
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団の指揮を任された気分だ。
その男はNO1だけあって男の僕から見てもカッコよかった、
言うなれば落ち着いた大人の木村拓也!
キム兄じゃないですよ、あのキムタクより落ち着いていて大人っぽいんですよ!
どっちの料理ショーだったら間違いなくストレート勝ちですよ。
その大人チックなキムタクとの面接は40分以上にも及んだ、
僕がホスト未経験だった事もあり、今まで受けたどの面接とも違った、
その店のシステムから始まってホストとしての心構え、ホストの苦労話などが中心でした、
面接の感想としては「面接なのに楽しかった」だった、
流石はNO1!面接にも関わらず、僕のこともさり気なく気遣い、
話し上手だから聞いていて面白かった。
しかし途中の「一日で100万円稼いでもいいよ」この言葉には正直驚いた、
ってことは・・・、今僕の目の前にいるNO1は・・・。
( ゚Д゚)ハッ
皆さんも気になっていると思うので先に言っておきましょう、
なんと僕の面接結果は採用だった・・・、しかし
「時間を下さい」それが僕の返事だった。
3日後、辞退することを決めた・・・。
理由としては昼夜の生活がまるっきり逆になることに抵抗があったのと、
ホストにはホストなりのポリシーと、女性に楽しい時間を提供するための
努力を惜しまない毎日を送るホスト、ほんの興味本位の僕が
ホストになるのは、真剣にホストNO1を目指す人にとって
少し失礼だなと思ったからでした。
僕はNo1との面接で、
今までのホストに対する認識が変わりました。
女性に夢を見せ
女性の心を誰よりも理解し受け入れ
寂しい女性を癒すホスト・・・。
もしかしたら男はひとつ齢を取る度に
自然とオンリー1のNO1に近付いていくんじゃないのかな・・・。
面接で、履歴書をしばらくじっと見ていたNO1・・・
そのNO1が一番最初に僕に聞いた質問が・・・
「調理場志望ですか?」
工エエェェ(´д`)ェェエエ工
で、電話でホスト志望って言っておいたのに・・・
「ホスト志望って言ってましたよね(笑)いや、履歴書見てたらつい」
さすがはNO1!さり気なく笑いを取りにきましたか、でも僕は笑えませんでしたよ。
(´・ω・`)ショボーン